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平成16年税財政制度調査特別委員会−06月22日-記録

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  1. 札幌市議会 2004-06-22
    平成16年税財政制度調査特別委員会−06月22日-記録


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    平成16年税財政制度調査特別委員会−06月22日-記録平成16年税財政制度調査特別委員会  札幌市議会税財政制度調査特別委員会記録            平成16年6月22日(火曜日)       ────────────────────────       開会 午前10時 ○小野正美 委員長  ただいまから,税財政制度調査特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが,宮本委員からは,欠席する旨,連絡がございました。  それでは,議事に入ります。  最初に,三位一体の改革についてを議題といたします。  ここで,理事者から説明を受けます。 ◎米田 財政局長  国と地方の税財政構造を見直す三位一体の改革につきましては,昨年6月に閣議決定されました経済財政運営構造改革に関する基本方針2003,いわゆる骨太の方針第3弾に基づきまして,平成16年度から18年度までの3年間で進められることとなっており,平成16年度予算におきまして改革の具体化が図られたところであります。さらに先日,6月4日に閣議決定されました経済財政運営構造改革に関する基本方針2004,いわゆる骨太の方針第4弾の中におきましても,平成17,18年度に行う改革の方針が新たに示されたところでございます。  市議会におかれましても,早速,真の三位一体の改革の実現を求める意見書を提出されたところでございますけれども,私どもといたしましても,決意を新たにして取り組んでまいらねばと考えているところでございます。  それでは,具体的な内容につきまして,資料に沿いまして財政部長からご説明をさせていただきます。 ◎生島 財政部長  それでは,資料に沿ってご説明をさせていただきます。  なお,三位一体の改革に対する指定都市の考え方をご理解いただくために,この後の議題となっております「白本」の中に含まれている三位一体の改革に関する要望の内容についてもあわせて説明をさせていただきたいと考えております。  それではまず,資料1をごらんください。  1ページと2ページでございますけれども,まず,昨年6月に決定されました基本方針2003,骨太の方針第3弾についてご説明をいたします。  と申しますのも,三位一体の改革は,基本方針2003をもとに進められているものでございまして,今回の基本方針2004につきましても,その枠組みに沿って示されたものでございます。すなわち,これが現在進められている三位一体改革の根源だということで,改めてご説明しようというものでございます。  ここでは要旨のみ掲載しておりますが,まずは1ページの上の方でございます。三位一体の改革の理念として,「1改革のポイント」,「2改革が目標とする望ましい姿」の中では,地方分権の理念に沿って地方の権限と責任を大幅に拡大し,国の関与を縮小すること,その一方で,国・地方を通じた行財政改革を同時に進め,効率的で小さな政府を実現するという展望が示されております。  2ページに移って,「3改革の具体的な工程」として,まず,平成16年度から18年度までの3カ年に,(1)として国庫補助負担金公共事業を含めておおむね4兆円程度を目途に廃止,縮減等の改革を行います。そして,(3)に飛びますが,そのうち,引き続き地方が主体となって実施する必要がある事業について,8割程度を目安とし,特に義務的な事業については,効率化の上,その全額について基幹税を基本に税源移譲を行います。さらに,(2)に戻り,地方交付税については,財源保障機能を縮小し,地方交付税総額を抑制するという方向が示されております。
     3ページでございますが,ここには,基本方針2003が閣議決定された以降の主な動きを掲載しております。  昨年12月中旬の政府・与党協議会合意では,平成16年度分として1兆円の国庫補助負担金の廃止・縮減,6,500億円余りの税源移譲,平成18年度までに個人住民税への本格的な税源移譲が決定されました。また,12月18日に地方財政対策が示され,2兆9,000億円に上る地方交付税臨時財政対策債の削減が行われたわけであります。  次に,4ページは,基本方針2004の要旨を掲載しております。  先ほども申し上げましたように,基本方針2003の方向性は維持しつつ,改革の今後の進め方を示しております。そのポイントでございますが,スケジュールとしては,残り3兆円程度の国庫補助負担金改革の工程表,税源移譲の内容,交付税改革の方向を今年秋までに明らかにし,年内に決定することとしております。  次に,税源移譲は,3兆円規模を目指すことが明記されましたが,その前提として地方公共団体に対し,国庫補助負担金改革具体案を取りまとめることが求められております。また,地方交付税の改革につきましては,引き続き地方の歳出を見直すことで交付税総額を抑制するとともに,地域において必要な行政課題には適切に財源措置をすることにより,地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額を確保する,このようになっております。以上の方針に従いまして,今後,平成17年度予算の編成に向けた検討が進められていくことになっております。  次の5ページは,今,申し上げた基本方針2004の該当部分の全文でございまして,参考に掲載をしております。  先ほど申し上げましたように,こうした改革の動きに合わせまして,政令指定都市と共同してさまざまな働きかけを行っておりますが,基本方針2004に対する指定都市の意見は資料3にございます。  この1ページでは,国から地方への税源移譲権限移譲を基本とする三位一体の改革の改革の実施ならびに大都市税財源充実強化に関する要望となっておりまして,その1として,三位一体の改革は地方分権の理念に沿ったもとのとして,国から地方への税源移譲権限移譲を一体的に行うべきであることを求めているわけであります。  ちょっと前後しますが,この資料の見方でございます。  今回の白本の本文の下に,昨年の文を四角で囲ってありまして,アンダーラインを引いてあるものが変更部分ということでございます。今回,この部分については,基本方針2004が出ましたのでほぼ全改になっているということであります。  2ページの「(1)税源移譲の実現」でございます。  複数の基幹税による3兆円を上回る規模の税源移譲を速やかに実施することで,国・地方間の租税配分を是正し,地方税中心税財政構造にするよう求めております。  それから,3ページの「(2)国庫補助負担金の廃止・縮減」でありますが,国庫補助負担金の廃止・縮減に当たりましては,地方がこれから示す具体案に基づき改革を進め,必ず税源移譲につなげること,国の関与を速やかに廃止・縮減するとともに,地方に負担が生じないよう,その所要額を税源移譲することなどを求めております。  それから,4ページの「(3)地方交付税の改革」でございます。  地方交付税について,単に総額を抑制することはせず,財源保障機能税源偏在調整機能の双方を重視するよう求めております。  それから,5ページの「(4)改革工程表の作成」でございますが,これは,今回新たにつくられた項目でございます。  改革の全体像に地方の意向を十分に反映させることと,その具体的工程を早期に明確に示すべきことを求めております。  なお,その下の「2 大都市特有財政需要に対応した都市税源充実強化」については,昨年と同様の内容になっております。  この三位一体改革の進展は,ご存じのとおり,本市の財政にも大きな影響を与えるものでありますので,今後もその動きが地方分権の理念に沿ったものになるよう引き続き注視し,積極的な働きかけを行っていく所存でございます。 ○小野正美 委員長  それでは,質疑を行います。 ◆小須田悟士 委員  今,部長の説明を聞きまして,感じたところを何点か質問いたします。  まず,初年度であります平成16年度は,国庫補助負担金の廃止・縮減が1兆円,税源移譲が6,500億円で,そのうち所得譲与税が4,250億円,交付税改革では対前年度マイナス1.2兆円とあります。臨時財政対策債も同時にマイナス1.7兆円となり,ここに書かれておりますように,合わせて交付税総額マイナス2.9兆円,対前年度マイナス12%となったため,各地方自治体から国に対して非常に厳しい意見が寄せられていると聞いております。  札幌市では,これまで三位一体改革に関してどのような意見というか,働きかけを国等にしたのか,お伺いします。 ◎生島 財政部長  これまでの札幌市の働きかけということですけれども,札幌市が国に働きかけるやり方としては,指定都市市長会というものがありまして,指定都市共同でさまざまな働きを行っていくことを基本にしています。  昨年6月に基本方針2003が出たわけでありますけれども,その後,まず8月に,白本要望として,当時,札幌市が当番市でございましたので,上田市長武市議長指定都市を代表して内閣府,総務省,財務省へ三位一体の改革の実現を訴えております。その後,10月から11月にかけまして,国庫補助負担金の廃止・縮減に関する指定都市の提言をまとめました。その内容でありますが,指定都市に関係する国庫補助負担金というのは総額18兆1,000億円ありますけれども,そのうち8兆円は廃止していい,そのかわり,8兆円のうち7兆2,000億円については税源移譲してくださいという要望,提言をしております。その後,青本要望によりまして,大都市税財源の拡充を訴えておりまして,年末には国の予算案の策定に合わせて,指定都市共同緊急意見・アピールによって税源移譲早期実現などを求めてきております。  それから,今年度に入りまして,基本方針2004が出るということで,それを経済財政諮問会議でも議論をするわけでありますけれども,それに先んじまして,5月7日に三位一体の改革に関する意見を指定都市市長会でまとめまして,会長市である名古屋市長経済財政諮問会議の委員などに要望を行うなどの活動を展開しております。 ◆小須田悟士 委員  国としても,地方からかなり厳しい意見がいろいろ出たということで,今回の基本方針2004では地方の意見に十分に耳を傾けるとの方針が示されているようであります。その一つとして,今後2年間に行う3兆円程度の国庫補助負担金の改革の具体案地方公共団体が取りまとめるように求められているとの説明が先ほど部長からありました。  しかし,札幌市のように財政規模が大きく人口も集積している大都市とそうでない市町村とでは,当然ではありますが,今後の財源移譲による影響の度合いが大きく異なると思います。わかりやすく言えば,国庫補助負担金が大きく削減されても,それに見合った税源移譲が本当になされなかったら,財政状況はより一層厳しくなるだけではないのかと思います。  また,地方交付税一つとってみても,指定都市13市の中で札幌市は交付額が多く,1,000億円を超える金額の地方交付税を受けている状況でもあります。逆にまた,地方交付税が交付されていないところもあり,地方自治体もそれぞれの特性による立場や考え方の違いが存在しているわけであります。さらに,都道府県市町村では,当然,その規模や役割,また,担う事務が大きく異なっていることは周知のとおりであります。こうした改革の中では,立場の違いというものが明確になることが想定されるわけであります。  こうした状況の中で,今後,地方に取りまとめをゆだねられた国庫補助負担金改革案はどのように取りまとめられていくのか,また,その中で札幌市としては,その特性を踏まえ,今後,国などへどのように働きかけを行っていくのか,お伺いいたします。 ◎生島 財政部長  今後,どのようにやっていくのかというお尋ねでございます。  まず,地方の方にまとめろと言われている国庫補助負担金の改革の関係でございますけれども,指定都市市長会によって提言を行うべく,今,協議・検討を進めておりまして,7月中旬を目途に提言内容を取りまとめる予定になっております。  また,これにあわせまして,国からはどういうものを廃止・縮減するか求められておりますが,逆に,地方の自由度の拡大につながらず,廃止・縮減すべきでない国庫補助負担金についても提示をしたいと考えております。それから,提言内容につきましては,指定都市のみならず,全国市長会全国知事会とも調整して,地方団体としての意見の統一を図っていくように進めていくものでございます。  ただ,委員もご指摘のように,どれだけ全国的にバランスをとるように努力いたしましても,各自治体財政規模税収構造によって改革の影響は大きく異なってしまうものでございます。  しかしながら,この改革は,地方にとりまして非常に大きなチャンスでありますので,小異を捨てて大同につくという姿勢で地方税財政全体の自立につながっていくように進めていかなければならないと考えております。  今後の三位一体改革が国の財政再建のみをもって目的とするのではなく,国から地方への税源移譲権限移譲を基本として地方分権を確立するものとなるよう,今後とも各関係団体と連携を取りながら積極的に意見を述べていきたいと考えております。 ◆小須田悟士 委員  立場の違いはあっても,税源移譲により地方の自主財源を拡充し,地方分権を少しでも前に進めたいという点では,どの地方公共団体も共通の思いを持っているはずであります。地方が決定すべきことは地方がみずから決定するという意味では,改革案を地方が取りまとめるということは,まさに地方自治の本来の姿でもあります。その実現に向け,本市のより一層の努力を要望したいと思います。 ◆桑原透 委員  私からも,何点か質問させていただきます。  まず,昨年末の政府税制調査会の答申では,我が国は,少子高齢化グローバル化など大きな構造転換に直面しているとし,これに対処するためには,将来,公平で活力ある経済社会を実現するために,個人所得税基幹税としての機能を回復するとともに,消費税の役割を相対的に高めなればならないとしています。財務省サイドとしては,消費税率引き上げと同時に,個人所得税の増税を目指しており,その準備が整う2006年前後まで所得税の移譲を先送りしたいと考えていると聞いております。  こうしたことをかんがみますと,私は昨年の骨太の方針第3弾から始まった三位一体の改革というものが,地方分権を語りながら,実は,国の財政再建を図るための手段にされているにすぎないのではないのか,すなわち,地方に負担を押しつけるための道具として使われ,その結果,04年度の地方財政計画も地方の意に反して削減されることになってしまうのではないのかと考えるのであります。  このことを裏づけるように,我が民主党が全国の自治体に対して実施したアンケートが4月7日に発表されたのですが,三位一体の改革に対して,「泣いている」「怒っている」「容認する」「ノーコメント」の選択のうち,「泣いている」「怒っている」が1,534自治体となり,回答した自治体の86%に上りました。その理由の一つとしては,国の財政再建について将来ビジョンを示さぬまま,突然,地方交付税を削減する方法は理解しがたい,また,国の財政悪化のしわ寄せとして負担を地方に転嫁する方法が見られ,真の地方分権からの改革とは受けとめがたいといったことが挙げられております。  そこでまず,1点目の質問でありますが,こうした痛烈な批判が多数寄せられている三位一体の改革について,本市はどのように考えているのか,まず,その見解をお伺いいたします。 ◎生島 財政部長  まず,札幌市は三位一体の改革をどのようにとらえているかという話でございますけれども,三位一体の改革は,昨年の基本方針2003にありますように,地方分権の理念に沿って歳入・歳出の両面での地方の自由度を高めるために行われることが基本であると考えております。そうした観点から見ますと,平成16年度予算においては,暫定的ではありますが,所得譲与税の創設による税源移譲が行われたことは地方自治体自由度の拡大と基幹税による本格的な税源移譲への一定の道筋をつけたものと評価をするところであります。  しかしながら,国と地方を通じて,いわゆる借金,長期債務残高が全体で700兆円に達しているといった意味では,財政の健全化が喫緊の課題になっているという現状認識は国,地方ともどもにあるとは思います。  しかしながら,今回行われたことを見ますと,国庫補助負担金の削減に見合う十分な税源移譲がなされなかったこと,国の歳出削減規模を大きく上回る地方交付税等の削減が行われたこと,さらには,それが時期的にも年末になって唐突に行われた,そのために多くの自治体予算編成が混乱したことなど,その内容と進め方に大きな課題が残ったものと認識しております。 ◆桑原透 委員  昨年のことについては,時間がない中での取り組みということで,よく理解ができなかった部分が多かったのかと思っています。  本市の考え方について,今,お話を聞きました。  そこで,次の質問ですが,4月26日に,麻生総務相が,所得税から住民税税源移譲を2005,2006年度に先行決定するとともに,地方税地方交付税等について,05年度予算の一般財源総額を前年度と同じ程度の数字にするといった内容のいわゆる麻生プランを示しました。これに対して,谷垣財務相は,即座に,同じ日付で,国と地方の改革の推進についてという麻生プランへ反論した資料を提出しました。これは,まさに,地方と国の代理戦争とも言えるものであるのではないかと私は思っています。地方分権を進める中,国と地方の間にあるさまざまな課題は,こうしたやりとりに象徴されるように決して簡単には決着を見るものではないと考えております。  そうした中で,最大の課題の一つとして,やはり,国庫補助負担金の改革が挙げられていると考えております。そこで,昨年に引き続き,今後も,国庫補助負担金の改革が進められた場合,国と地方の役割についてどう変わっていくと考えておられるのか,また,問題点はどういったことが考えられるのか,伺います。 ◎生島 財政部長  平成16年度予算では,1兆円の補助金改革が行われたわけでありますけれども,国庫補助負担金の総額を削減することに主眼が置かれまして,地方への権限と財源の移譲が進んだとは言いがたいという状況にございます。  今後,平成17,18年度で3兆円分の国庫補助負担金の改革が行われることが示されたわけでありますけれども,こうした昨年の経緯から見ましても,まず,これに伴う権限と財源の移譲が一体的になされていくかどうかという点が最も重要だろうと考えております。それから,平成17年,18年度の重点強化期間にとどまらず,今後も国の関与・規制の見直し,国庫補助負担金の改革に対応する税源移譲,これらが一体的に実施されることによりまして,地方にできることは地方へという地方分権の趣旨に沿った国と地方の新たな役割分担が構築されていくものと考えております。  それから,国庫補助負担金改革問題点は何かということでございますけれども,今まで申し上げてきたことの裏返しになりますが,まず,改革の内容としては,国の財政再建だけのために権限や税源の移譲なしに補助金が縮減されることがないかが一つ,そして,改革のプロセスという観点から見ますと,今回取りまとめる地方の意見が確実に反映されていくのかどうかということが懸念されているわけでございます。こうした問題に対処するためにも,このたびの白本要望,それに加えまして,今後もさまざまな機会をとらえて積極的に国に訴えてまいりたいと考えております。 ◆桑原透 委員  今の問題点などについて,そのとおりだなと思います。  そこで,私は,地方分権をさらに推し進めるためには,しっかりとした税源移譲が伴い,かつ地方の自由度が高まるような適正な補助金の改革が必要と考えますが,重要なのは,真に住民に必要な行政サービスを,地方がみずからの責任で提供できるかどうかということです。平たく言うと,地方税として自主財源になってからが本番と言っても言い過ぎではないと思います。  そこで,最後に要望ですが,ぜひ,くれぐれも単なる行政サービスの低下につながらないように十分に検討していただきまして,補助金の改革に取り組んでいただきますようお願いし,質問を終わります。 ◆谷沢俊一 委員  私からも,税源移譲の関係でご質問をさせていただきたいと思います。  資料1の5ページですが,上から5段目に税源移譲について触れているところがございます。これを見ますと,平成18年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施する。その際,応益性や偏在度の縮小といった観点を踏まえ,個人住民税所得割の税率をフラット化する方向で検討を行うと記載しております。  フラット化する方向でというのは,麻生プランによれば,市民税道民税を合わせて,これまでの累進課税を一律10%にすると触れておりますが,この辺についてもうちょっとわかりやすく,フラット化というのはどういうことなのか。また,この場合,本市の市税に与える影響額はどの程度と試算されるのか。また,市民一人一人に当てはめた場合,税負担はどういうふうになっていくのか,ふえていくのか減っていくのか,そういった傾向なり見通しについて最初にお聞きしたいと思います。 ◎米田 税政部長  まず,1点目の個人住民税所得割の税率のフラット化についてでございます。  個人住民税所得割につきましては,現在,道府県分市町村分を合わせて5%,10%,13%と3段階の累進税率によって課税されております。こうした累進構造を維持したままで税源移譲を行いますと,東京都などの特定の地域への税源の集中が問題となります。このため,個人住民税応益課税としての性格をさらに高め,地域間の税源の偏在を縮小する観点から,個人住民税所得割の税率を10%にフラット化していく,すなわち,一定税率化に向けて検討する方向性が示されたものと認識しております。  次に,2点目の,税率のフラット化による本市への影響額税負担への影響についてでございます。  麻生プランに示された方法で税源移譲が行われた場合の本市の影響額につきましては,比例税率10%を都道府県市町村でどのように配分するかといった点など具体的な内容が示されておりませんので,現時点では確定的なことは申し上げられませんが,平成15年度の札幌市の課税状況をベースに試算いたしますと,概算ですが,約二百数十億円程度と見込まれております。  また,税負担への影響につきましては,現行の個人住民税課税方式に単純に比例税率10%を導入いたしますと,所得金額が200万円以下の部分については市民税道民税合わせて所得割の税率が5%から10%に,200万円超700万円以下の部分は10%で変わらず,700万円超の部分が13%から10%に変わりますことから,このことに伴う増減が生ずるものと思われます。  なお,所得税個人住民税の合計の負担額の増減につきましては,麻生プランでは納税者の負担の調整等のために,所得税においても所要の制度改正を実施すると示されているところでございますが,その詳細が不明なため,合計額の負担の増減につきましては明らかになっておりません。 ◆谷沢俊一 委員  住民税比例税率化されるということで,市民への影響額は,所得全額200万円以下の方々については,現在,税率が5%ということですから,これが10%になりますと,特に低所得者層住民税の負担がふえるのは明らかであります。しかし,今,お話があったとおり,所得税はどういう措置をとられるのか,これで,これまでの税負担がどういった形で軽減化の方向になるのかちょっと見えないというのはよくわかる話であります。  そこで,個人住民税を基準に算定されているものがいろいろございますが,特に国民健康保険料とか介護保険料等にも,当然,影響が出てまいります。また,平成17年度から配偶者の特別控除が廃止される税制改正もございました。同じく,平成17年度からは均等割の同一世帯の非課税措置がなくなることもございます。そうなりますと,やはり住民税についてかなりの負担増が懸念されるのではないか,実はそういう心配をするわけであります。  そういったことで,住民税を基準に考えられる国民健康保険料,介護保険料にどういう影響があるのかについて,どのように考えているのか,お聞きしたいと思います。 ◎生島 財政部長  今も委員からご指摘がありましたように,国民健康保険料,介護保険料の所得割につきましては,現在,加入者の住民税額をもとに計算されております。この計算方式につきましては,総医療費とこれに要する保険料との関係で毎年ごとに定められているものでございます。所得税からの税源移譲によりまして,個人住民税の税率が一定税率化されますと,個人住民税の課税の状況が大きく変わることになりますので,保険料の算出方法自体につきましても,住民税の課税額を使うかどうかも含めて大幅な見直しがされるべきだろうと認識しております。 ◆谷沢俊一 委員  これまでにも,前年度の所得を基準に国民健康保険料等々が算出をされている制度そのものの見直しも必要だろうというお話がありました。私も,全くそのとおりだと思います。  税源移譲の具体的な方向がはっきり見えないということもございますが,いずれにしても,市民の方,とりわけ低所得者層の方々の税負担,あるいは,保険料負担について,十分な配慮が必要であろうと考えるわけであります。そういう意味では負担増にならないように,市としてもぜひ今後は必要な措置,あるいは国への要望も含めて取り組んでいただきたい,このように要望して,終わりたいと思います。 ◆飯坂宗子 委員  三位一体改革につきましては,昨年度の本委員会でも,また,ことし3月の第一部予算特別委員会でも触れさせていただきましたので,それを踏まえて簡潔に質問したいと思います。  今年度から三位一体改革がスタートして,3年計画と言われているわけですが,全国的な影響額については前段でやりとりがありましたので,繰り返しません。  地方自治体は,多大な影響を受けているということは現実だと思うのです。札幌市におきましても,三位一体の改革の影響によって,今年度は111億円の税収減となっております。中身としては,国庫補助負担金マイナス17億円,地方交付税は,臨時財政対策債も含めてですが,124億円という大幅な減収となっています。そして,所得譲与税が創設されて,30億円税源移譲された,ここだけプラスということです。しかし,プラスマイナスを差し引きますと,先ほど申し上げましたように,今年度で111億円もの税収減となっているわけです。  そこで,札幌市におきましては,新年度予算編成に当たりまして,税収不足を補うために財政調整基金59億円を取り崩して予算編成して,今,新年度の事業を進めているのが現実です。残りはもう42億円しかないですから,来年度以降,今年度並みの減収が続けば,財調42億円をそっくり取り崩しても立ち行かないという現実にぶつかると思うのです。  そこで,1点目は,財政局長にお尋ねしますが,04年度の三位一体の改革の内容に対する財政局長のご見解を伺いたいと思います。  代表質問では市長からもご答弁いただき,また,予算委員会では市長の本音も聞かせていただきましたけれども,局長はきょうが初めての税財政の特別委員会ですから,三位一体改革が地方に大変大きな影響を与えている,本市で言えば111億円マイナスになっている,この内容に対する見解をお聞きしたい。  もう一つは,三位一体改革の本来あるべき姿についてどうお考えになっているのか,あわせてご見解を伺いたいと思います。  まず,2点です。 ◎米田 財政局長  三位一体の改革は今年度が初年度ということでございますけれども,その絵姿につきましては,今,お示しのあったようなことでございます。将来に向けての方向づけといたしまして,30億円という金額のお示しがございましたけれども,所得譲与税ということで,今,基幹税による本格的な税源移譲に大きな第一歩を踏み出したことにつきましては率直に評価をすべきだと考えております。  先ほど来,るるお話がございましたけれども,全国的に見れば国庫補助負担金の削減に伴う十分な税源移譲がなされていないこと,それに加えまして,地方交付税につきましては大幅な削減があり,それも年末になって非常に急な形で出てきたことによりまして,内容におきましても,進め方といいますか,私どもの今年度の予算編成において非常に難渋をきわめ,そういったことでは大きな課題として残ったものと考えております。したがいまして,今回の基本方針2004,骨太の方針第4弾におきましては,地方の声に十分耳を傾けるということが既に盛り込まれておりますけれども,白本の要望におきましても,そのことを改めて念押しをいたしております。三位一体の改革というのは,まさに地方と国の共同作業によりまして進めていくべきものだと考えているところでございます。  そこで,本来あるべき姿ということでございますけれども,三位一体の改革というのは地方分権改革をさらに推し進めていくという文脈の中でとらえられなければならないものだと考えております。いわゆる地方分権一括法が成立し,それがスタートいたしまして機関委任事務制度が廃止されたことで,国と地方が対等・協力の関係になったというようなことになっております。しかし,その裏づけとなる税財源,税財政面での自立ということなくして,真の意味での地方の自立はなし得ないという観点の中で,三位一体改革というのは地方分権改革を名実ともにさらに実のあるものにするためになされるべきものというのが基本的な認識でございます。  ただ,国,地方を通じて極めて厳しい財政状況にある中でこの改革を進めていかなければならないわけでございまして,そういった事情を全く蚊帳の外に置いて改革を進めるわけにはまいりませんので,やはり,国,地方を通じて見直すべき歳出は見直していくことが当然必要になってこようかと思います。その場合,国の負担を地方に押しつけるという形での歳出削減の取り組みというのは当然いけないわけでございます。先ほど地方と国の共同作業と申し上げましたけれども,国と地方が歩調を合わせてそういった取り組みを進めていく中で本来の意味での三位一体の改革が実現する,地方分権改革を進めていくということが,結果として構造改革あるいは財政再建にもつながっていくと考えているところでございます。 ◆飯坂宗子 委員  そこで,ことしの動きを踏まえて,来年度,05年度に何を政府に要望していくのかが大変課題であります。  そこで,手元に配られました資料5の白本の重点要望の中に,三位一体改革の文章がありますが,私は,提言も含めて質問したいのです。  段々の質疑がありましたように,やはり,地方自治確立の視点から真の地方制度の改革への転換を求めるべきではないかと思うわけです。本市議会も,6月9日,2定の最終日に,真の三位一体の改革の実現を求める意見書を全会一致で可決いたしました。また,全国市長会でも,ことしの5月に真の三位一体改革の推進に関する提言を発表しております。これは,やはり,04年度の場合の三位一体改革は,あるべき三位一体改革になっていないところが問題点として非常にクローズアップされてきているわけです。  そこで,新しく,平成17年度,05年度の要望をするに当たっては,三位一体改革の項目の前に,前文も,それから記の1も,「国から地方への税源移譲権限移譲を基本とする真の三位一体改革の実施」というふうに,どちらも「真の」と挿入した方がより明確な要望になるのではないかと思いますので,いかがか,お尋ねします。  また,裏面の(3)ですが,ここに書いてあることはそのとおりで,これはこれでいいと思います。ただ,さらに加えて,(3)の最後に,「平成17年度交付税については大幅削減前の水準に復元すること」と。要するに,大きく減らされたわけですから復元させると。それはどこかの文言には入ってくるのですね。しかし,これは重点要望ですから,しっかりと大幅削減前の水準に復元することを文言として入れたらいかがかと思います。  それから,(4)は,2行目に「地方の意向を十分に反映すること」と書いてありますが,このセンテンスの前に「一方的な削減を行わず」と。通していいますと,「三位一体の改革の全体像については,地方が適切な見通しをもって行財政運営ができるよう,一方的な削減を行わず,地方の意向を十分に反映すること」,このように一言入れたらいかがかと思います。  最後に,(5)として,ぜひ追加していただきたいことがあります。  前段のやりとりでもございましたし,答弁の中でもございましたが,「国の財政再建優先の視点から三位一体改革を進めることなく,地方自治確立の立場から真の改革への転換を図ること」,これを文章として項立てし,(5)としてぜひ追加をしていただきたいと思いますがいかがか,お尋ねします。 ◎生島 財政部長  これはちょっと先の説明になりますが,資料5の性格は,白本要望の中で特に重要なものをピックアップしてまとめて1枚物にしたものでございます。したがって,これはいずれにしても7月1日に行われる指定都市の局長会議で議論することになるわけでありますけれども,白本本体の方の議論として今のことを議論し,そこでまとまればその辺の修正の可能性があるということではないかと思います。資料の性格としてはそういうことでございます。  そこで,今,具体的に四つの点についてご提案があったわけでありますけれども,ここで,そうしますとか,そうしませんとお答えするのはなかなか難しい課題でございますので,そういうご要望があったことは受けとめさせていただきたいと思います。 ◆飯坂宗子 委員  三位一体改革については一括して質疑をするということだったので,これからの説明の部分も言ってしまいました。  確かに,これは重点要望ということなのです。そして,資料3に本章がありまして,本章も読んだのですが,「真の」という言葉が入っていないのです。私ども議会とか,あるいは全国市長会では,やはり,04年度の改革は,地方から見るとまやかしだという共通認識になっていて,議論した上でわざわざ「真の」という言葉をつけているわけです。ですから,指定都市の要望のときにも,ぜひそういう立場でと。もちろん,札幌市の単独要望ではないですから,政令市で一致しないと文言は入らないのは私も承知して言っています。ですから,札幌市として,財特委員会からそういう意見が上がったということで,ぜひとも挿入できるように発言をしていただきたいということです。  それから,残りの部分につきましても,確かに文章の中で若干触れられている面もありますが,やはり明確にするという意味で,先ほど私が指摘した点につきましてはぜひ積極的に発言をしていただきたいと思います。 ◆田中昭男 委員  1点だけですが,三位一体改革は,私の認識だと総論ではなくて各論に入ってきているのだろうなと思います。  冒頭の部長の方からの説明にありましたし,小須田委員の後段の論議にもなりましたが,去年の反省も踏まえて,そして,この文章でいくと地方の意向を十分に反映してくださいということは当然言われることです。小泉さんとして,あるいは国として,反映させていただきたいと。ついては,国庫補助金の廃止なり,あるいはまた,それに伴う税源移譲なり,地方公共団体の皆さんはどういう案をお持ちでしょうか,それをおまとめいただきたいということで,ボールは地方公共団体の方に投げ返されたというのが今の段階ではないかと認識しています。  そこで,国庫補助負担金はどういうものなら廃止してもいいのだという話と,また,それに伴う税源移譲はどういうものを希望するのだということについてです。地方公共団体として,全国知事会を筆頭にしていろいろな団体があると思いますが,さて,ボールはそうやって投げ返されたものの,どうやってまとめるのか。そういう個別の論議になると,それぞれの論議がいっぱい出てきているのが今の実情ではないかと思います。義務教育費の国庫補助負担金がその一つの象徴だと言われていますけれども,廃止してもらってもいいという自治体もあれば,それは絶対だめだと言われる自治体もある状況だと思っております。  ですから,総論から各論に入って,地方公共団体としてまとめてくれということを国から言われている今の段階において,最終的には,知事会の会長は岐阜県の県知事だと思いますが,そこでまとめられるように聞いております。ただ,町村にとってみれば,補助金だけ廃止されて,税源と言ったってどこにあるのかと,本当に切実な声が出てくるとなると,まとめてくれと言われた案を地方公共団体がまとめるといっても,私は並大抵のことではないと思うのです。  そこで,全体のことはさておいて,指定都市レベルではそれは今どうなっているのか,どういう論議が交わされているのか,指定都市共通に簡単にまとめられるものなのか。個別の都市の税源構成によっては結構いろいろな論議が交わされているのではないかなと私は思いますが,私どもは不勉強でその中身が見えません。ですから,指定都市としては今どういう論議が起きているのか,そして,その中で札幌市はどういう特徴的な立場,希望を述べているのか,その辺があったら,お伺いをしたいと思います。
     なおかつ,指定都市の中で交わされた論議の中で,どこの市からは,こういう国庫補助金を廃止してもらってもいい,それにかわる税源はこういう税源を移譲してほしいというように,それぞれの個別の要望があると思います。縦に個別の項目,横に各政令市と多分一覧表でつくれると思いますが,ぜひ拝見したいと思いますので,そういうものが出せるかどうか,お伺いをしたいと思います。 ◎生島 財政部長  委員ご指摘のように,今は各論に入っております。  そういった意味で,実は先ほどもお答えしたのですが,昨年の10月から11月にかけて,各地方団体では,国に対して,こういう補助金を削減していい,そのかわりこういう税源移譲をしてくださいというのをまとめる活動をしたわけであります。指定都市も,昨年11月にそこをまとめて,一たんの提言はしております。そこで削減の対象とした補助金の額は8兆円です。そのうち,基本穂方針2003にも書いてありますように,義務的なものは全額,それ以外のものは8割を税源移譲ということで計算しますと7兆2,000億円です。8兆円削減して7兆2,000億円は税源移譲してくださいと,一たん,こういう整理をしまして,確かにさまざまな議論がありましたけれども,一応,指定都市として考え方をまとめた状況にございます。  それでは,今はどうなっているかということであります。委員がご指摘になりましたように,例えば義務教育費の国庫補助負担金が実は2兆5,000億円ありまして,そうなりますと,これを入れるかどうかが非常に大きな議論になっています。指定都市でのこれについての考え方は一つでございまして,税源移譲はすべきと。ただ,それが7兆2,000億円の枠組みの中では廃止して税源移譲すべきという議論をしています。今回は平成17年度,18年度の2カ年で3兆円の国庫補助負担金改革案を出してくれと政府から言われているわけです。そうしますと,基本的には,そういうものは入れるけれども,戦略といいますか,作戦といいますか,そういうことについてほかの地方団体とよく打ち合わせをさせていただいてまとめる必要があるかと考えております。  そこで,札幌市がどうなのかということですが,先ほど申し上げましたように,昨年はいろいろな議論をして一たんの取りまとめをしましたので,指定都市全体としては考え方はまとまっているかと思います。  ただ,札幌市はご案内のとおり税収が余り上がらない自治体でありますので,その主たる課題は,やはり税源移譲が具体的にどのような形で行われるのか。それから,もっともっと小さい地方公共団体もたくさんありますので,税源移譲が行われた後に地方交付税調整機能がなおさら重要になって,そこで適切な調整を行わなければならないということで,札幌市としては,そちらの方に関心の大きなところがあると考えております。  したがいまして,具体的には,先ほどの縦横の表の話でありますけれども,一応,全体はまとまっておりますので,それにつきましては後ほどご説明に上がりたいと思います。 ◆田中昭男 委員  結局,各論に入ってくると,自治体それぞれの性格があるから,私は大変だと思います。その論議が,指定都市の中で今どれだけ一致していて,どれだけばらついているのかということを勉強させてほしいということでご質問しました。今の答弁だと,大体は一致しています,義務教育の国庫補助負担金も税源措置さえやっていただければいいですという方向になっているということですから,指定都市の中では大部分は余り立場の相違がないと受けとめていいのですか。  税源移譲といっても,札幌市のような税収構造では,補助金は一ぱい削減していいですと言ったものの,それに見合う税源を札幌市の税制の中でカバーできなかったらどういうことになるのだと。国から言わせれば,それでいいと言ったからやったのではないかと言われないとも限らない,そういう要素も出てくると思います。  改めて,札幌市としては特別にこの項目を指定都市の中で主張をいたしましたということがもしありましたら,また後日でも結構ですので,お知らせいただきたい。 ◆小林郁子 委員  それでは,私からもお伺いいたします。  三位一体改革につきましては,地方分権一括法が成立しまして,国と地方が対等だということになったわけですが,これを実現するためのものとして,先ほどの真のという言葉ではありませんけれども,本当に税財政の改革になってもらいたいと思っているわけです。  しかしながら,今年度の予算ではどうだったかというと,繰り返しになって恐縮ですけれども,自治体としてはいかにも残念なので申し上げますが,補助金削減が先行して税源移譲は不十分,そして,地方交付税が大幅に削減されたということだと思います。  来年度以降についてですけれども,政府は三位一体改革の全体像を秋までにまとめるということにしていますが,税源移譲につきましては財務省が抵抗する,補助金の削減については各省庁の間でも抵抗があるということを考えますと,これもまた,なかなか難しい方向にあると思います。その一つの例としてですが,2006年度までに補助金削減額3兆円となっている中で,文部科学省の義務教育費国庫負担金だけでも2兆5,000億円に上っています。これについては,文部科学省は義務教育は国の責任だということで一般財源化に反対し,そしてまた,全国の知事らに働きかけているという状況もあります。  そのような中で,私の方からは,質問の最後の方にもなりますので,補助金の改革に絞って,2点お伺いをいたします。  1点目は,いただいている資料の中で,提出資料4に国家予算に関する要望の別冊資料があって,そこの中に載っていることですけれども,公共事業関係の補助金の取り扱いについてお伺いをしたいと思います。  この資料の3ページにもありますけれども,地方向けの補助金等についての姿ということで,20.4兆円が補助金となっております。この中で,地方向けの補助金の中で,2004年度は4.8兆円が公共事業関係分となっております。その中で,昨年11月に全国の知事会がまとめた補助金廃止のリストというのがありますけれども,公共事業に関しては2.2兆円をそのリストに上げております。また,全国市長会でも,公共事業関係分として3兆円の補助金廃止を提言しているわけです。このような経過の中で,公共事業については,自治体の思いと財政省の考えにかなりの隔たりがあるのではないかと思いますけれども,2004年度の予算ではどのように決着をしたのか,その経過を明らかにしていただきたいと思います。  それから,2点目としまして,生活保護の関係についてです。  生活保護費につきましては,今,部長の方からもご説明がありましたけれども,昨年11月にまとめた指定都市の提言というものがあります。そこで分類をしている中で,国の責務において行うべき事業に対する負担金であり,直ちに廃止できないものとして扱っております。  昨年,国におきましては,国庫負担率を現在の4分の3から3分の2に引き下げるということもありまして,この案が出たときに,自治体としては,かなりの影響がありますので反対をしたところです。しかしながら,国は2005年度に負担率も含めた見直しを行うと言っておりまして,その見通しがどうなっているのか,お伺いしたいと思います。  あわせて,札幌市としてはこれについてどのような考えをお持ちか,お伺いいたします。 ◎生島 財政部長  1点目の公共事業関係の補助金の取り扱いの決着の仕方であります。  今,委員からご指摘があった提出資料4の3ページもごらんいただきたいと思います。  平成15年度は,公共事業関係は5兆1,000億円ございました。このうち,4,500億円が今回の三位一体の改革により廃止・縮減が行われました。ただし,4,500億円のうちの1,300億円につきましては,まちづくり交付金という制度が創設されまして,地方の自主性・裁量性に配慮した統合交付金に再編されたわけであります。したがって,残りの3,200億円につきましては,採択基準の引き上げや小額補助金の廃止などによりまして,単に廃止,削減されただけということで税源移譲は行われなかったということであります。したがいまして,平成16年度国家予算では,5.1兆円からおよそ3,000億円引かれた4兆8,000億円になったということがこのグラフの説明でございます。  それからもう一つ,生活保護の関係でございますけれども,委員からるるご説明がありましたように,生活保護費,それに加えまして児童扶養手当の国庫補助負担率の引き下げが昨年は大いに議論されたわけであります。ただ,これらの国庫補助負担率の引き下げというのは,地方の裁量とか自主性の拡大につながるものでは全くございません。単純に地方への負担転嫁にすぎないということで,全国の自治体が猛反対をいたしまして,結局,平成16年度は実施をされなかったということでございます。  しかしながら,昨年末の政府・与党協議会の合意で,地方団体関係者と協議しつつ検討を行い,この結果に基づいて平成17年度に実施すると現状ではされております。そういった意味で,まず,これについては,地方が反対をしておりますので,地方が取りまとめるところの3兆円の国庫補助負担金改革の中身には当然なりません。ただし,今申し上げたように,政府・与党合意に沿った動きということも当然想定されるところであります。  しかしながら,繰り返し同じことを述べることになりますが,それについては私ども札幌市も全く同じ考え方であります。そもそも生活保護につきましては,全国一律の基準で行われるべきであり,本来,国が担うべきものと考えておりますので,引き続き負担率の引き下げには強く反対をしていきたいと考えております。 ◆小林郁子 委員  1点目の公共事業の関係についてです。  今のご説明でもわかりましたが,自治体としては,一般財源化してほしいという意味でこれこれの補助金を削減してくださいと言っているのに,全くその見返りがないという結果に終わっているということです。そうしますと,これから補助金の削減,しかも公共事業に関するものを出すときには,自治体は慎重にならざるを得ないと思います。  自治体につきまして,やはり全国一律の基準で公共事業をやるのではなくて,地域に合わせた形でやりたいという意味では,一般財源化の意義が非常に大きいものだと思うのです。公共事業一般財源化していくということについて,2005年度の見通しはどうなっているのか,お伺いしたいと思います。  それから,2点目の生活保護の関係につきましては,全国一律で市民の最低限の生活を維持するというもので,この事業をやるに当たっては,厚生労働省から本当に事細かに通知が来て,自治体はそれでもって実施しております。そういう中で,負担率を削減することについては,国の責務をどう考えるのか,そしてまた,全国一律の統一的な事業をするということをどのように確保していくのかといった問題があると思いますので,札幌市もそうですが,自治体としてきちんと対応をしていただきたいと思います。  これは要望になりますので,1点目だけお伺いをいたします。 ◎生島 財政部長  公共事業関係の補助金の2005年度に向けての話でありますけれども,私どもも全く同じ懸念は持っております。今,一番懸念している点は,公共事業関係の国庫補助負担金の廃止・縮減を含めた場合,その削減額に見合う税源移譲が行われるか,この点が一番大きな問題になっているわけであります。  基本的に我々の考え方でありますけれども,そもそも地方公共団体としては地方の裁量・自由度の拡大といった効果を得る点でも,公共事業関係の国庫補助負担金一般財源化すべきと考えております。  ところが,財務省は,公共事業関係の国庫補助負担金というのは建設国債を原資にしているから税源移譲になじまないのだと言っているわけです。ただ,建設国債が財源ではありますが,結局,国債を返すときの償還費は,当然,税金で賄われておりますので,そういう財務省の見解というのは我々は容認できないと考えているわけでございます。  したがって,こうした昨年の経過も踏まえまして,公共事業関係の国庫補助負担金を地方が取りまとめる3兆円の国庫補助負担金改革案の対象とした場合にも,それ以外の国庫補助負担金と同様に税源移譲に結びつくものになるように強く働きかけていきたいと考えております。 ◆小林郁子 委員  最後にいたしますけれども,これから3兆円分の補助金削減案を地方としてまとめていくということですが,やはり,自治体と国との考えにかなり隔たりがあるように思いますので,協議の場をきちんと設けられないものかといつも思うわけです。そういう意味で,札幌市からも,協議をきちんとできる機会を確保していくように努めていただきたいと思います。  これは要望です。 ○小野正美 委員長  ほかにございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○小野正美 委員長  なければ,質疑を終了いたします。  次に,平成17年度国家予算に関する要望についてを議題といたします。  ここで,理事者から説明を受けます。 ◎米田 財政局長  指定都市による共同要望のうち,通称・白本要望ですけれども,国の来年度の予算編成に向けまして,指定都市に共通する課題の解決のために,関係省庁等に対して要望を行っているものでございます。本日は,その原案についてのご審議をお願い申し上げます。  国,地方を通じて,国の厳しい財政状況の中,平成17年度の国家予算編成は,平成16年度予算に引き続き,あるいは,平成16年度にも増して大変厳しいものになることが予想されるところでございます。委員の皆様方におかれましても,要望の趣旨を十分にお酌み取りいただきまして,ご指導,ご協力のほどをよろしくお願い申し上げます。  それでは,要望の内容につきまして,この後,財政部長からご説明させていただきます。 ◎生島 財政部長  平成17年度の国家予算要望原案につきましてご説明いたします。  まず,資料2をごらんいただきたいと思います。  資料2は,平成16年度国家予算等の状況と要望の主な結果でございます。  1ページは,国家予算の概要で,平成16年度の予算のフレームと最近の予算額の推移を掲載しております。  2ページは,平成16年度における地方財政計画のフレームと最近の推移を掲げております。  3ページ以降5ページまでは,昨年度,国家予算に関する要望をしておりますが,その要望にどんな結果がついてきているのかということを簡単にあらわしたものです。  以上が資料2で,それでは,本題の資料3に入ってまいりたいと思います。  平成17年度の国家予算要望ですが,ご案内のとおり,要望分野ごとに原局局長会議というものがありまして,局長会議レベルで各省庁に要望しております。そのうち,白本要望と言いますのは,原局局長会議の要望項目の中から,特に重要性,緊急性の高いものを厳選して内容の重点化を図っているというものでございます。  それでは,資料3に移ります。  めくっていただいた見開きが前文になっており,大都市行政を推進する上での課題について述べ,国の協力を求める内容になっています。  それから,めくっていただくと,要望一覧,要望書の目次でございます。  実は,平成17年度国家予算に関する要望は全部で14の大項目になっておりまして,昨年に比較しますと新規の大項目が三つございます。また,文案の修正も多いので,これからの説明は,大きな修正のあった項目に絞って簡潔に説明をさせていただきたいと思います。  白本の見方ですけれども,1ページでは,一番上に大項目,その下に1とあるのが中項目でございます。  1ページ目以降は先ほどご説明しましたので,6ページまで飛んでいただきます。  6ページは,「保健福祉行政の充実に関する要望」で,少し構成が変わっております。  まず,「1 生活保護費及び児童扶養手当支給費に係る国庫負担率の確保」ですが,先ほど来,議論になっておりますように,生活保護,児童扶養手当制度につきましては,負担率の引き下げが行われる動きがありますので,それを行わないようにということで,新たに項目を立ててこの要望を一番上に持ってきております。ただ,この項目は生活保護費と児童扶養手当に限っておりますので,今,ほかにもないかということで調べておりまして,文案が修正される可能性はございます。  次は,「2 社会福祉施設等の整備促進」です。今までは老人福祉,障害福祉という福祉の分野ごとに要望をしておりましたが,今回は,施設面のハード整備というようなくくり方で項目を再整理したものでございます。  それから,7ページに移りまして,「3 国民健康保険財政の確立」については特に変更がございません。  それから,「4 介護保険制度及び支援費制度の確立」でございます。介護保険制度の見直しに当たっては,障がい者の支援費制度との統合を含めて必要な対応策を検討するよう要望文を変更しております。  それから,9ページの「5 福祉施策推進のための財政措置等の拡充」でございます。これにつきましては,先ほどハードの部分をまとめたというお話しをさせていただきましたが,こちらの方はソフト部分の事業について中項目としてまとめまして,9ページ,10ページになります。  それから,11ページ以降の「6 地域保健対策の推進にかかる財政措置の充実」,「7 市立病院に対する財政措置の充実」,12ページの「8 小児救急医療体制の拡充」については,大きな変更はございません。  次は,13ページ,「教育行政の充実に関する要望」でございます。  ここでは,「1 義務教育費国庫負担制度の見直しに当たっての財源措置等」ということで,先ほど来議論になっているようなことをここで要望しております。  それから,14ページでございますが,「2 県費負担教職員制度の見直しに当たっての財源措置」ということです。今は,人事権は指定都市にありますが,給与費負担は札幌市の場合であれば道にあるという,ねじれた現象になっておりまして,それを見直し,その際における財源措置について書いているものでございます。  それから,14ページ下の「3 義務教育施設等の整備促進」,15ページの「4 公立大学にかかる財政措置の拡充」については,大きな変更はございません。  それから,16ページ以降が「廃棄物処理事業の促進に関する要望」でございます。  「1 処理困難な一般廃棄物に対する適正な処理・リサイクルの促進」,次のページの「2 容器包装リサイクル法の見直し」,その下の「3 廃棄物処理施設整備の充実」については,大きな変更はございません。  それから,18ページですが,ここで新規の項目がありまして,「4 家電リサイクル法の見直し」でございます。  ここは,不法投棄された家電を放っておくわけにいかないものですから,それを処理するときに実は大きなお金が必要になっていまして,そこをいろいろな仕組みで見直していただきたいということから,これを新たな項目として追加しております。逆に,一番下に四角囲みで書いてありますが,昨年度は「1 家庭用パソコンの事業者による回収・リサイクル制度の確立」を項目として載せておりましたけれども,これは昨年10月1日に動き出しましたので,項目の重点化を図るという意味でこれについては削除しております。  それから,19ページは「環境保全対策の充実に関する要望」でありますが,「1 市街地土壌汚染対策の推進」,「2 地球温暖化対策の推進」,20ページの「3 自動車排出ガス対策の促進」につきましては,特に大きな変更はございません。  それから,21ページの「雇用対策に関する要望」でありますけれども,これは全く新規の要望でございます。  まず,「1 雇用施策の推進に係る大都市の役割の明確化と必要な財政措置」でございます。平成12年4月に雇用対策法が改正されまして,努力義務が定められた地方公共団体の雇用に関する施策につきまして,国・都道府県市町村間の役割分担の明確化と権限移譲,財政措置を要望しております。  それから,「2 緊急地域雇用創出特別交付金事業の継続」でありますけれども,公的部門における雇用や就業機会の創出を図るために設けられたこの交付金につきましては,平成16年度に終了する予定になっておりますので,平成17年度以降も事業を継続するよう要望するものでございます。  それから,「3 雇用保険の被保険者以外の求職者に対する支援施策の実施」でありますけれども,求職活動に当たりまして不利な状況にあります雇用保険の被保険者以外の求職者に対して,セーフティーネット,雇用支援策の実施と必要な財政措置を要望しているものでございます。  それから,22ページの「震災対策等に関する要望」でありますが,「1 震災対策の推進」,「2 水害対策の推進」,「3 総合的な支援対策の充実」ということで,それぞれ大きな変更はございません。  それから,24ページがまた新たな大項目「国民の保護のための法制に関する要望」でございます。  まず,「1 財政上の措置」でありますけれども,国民の保護のための措置を実施するための財政措置や大都市特例による指定都市が処理する救援措置の国・都道府県指定都市間の役割分担の明確化,財政措置を要望しているものでございます。  「2 国民の保護に関する基本指針の策定等」でありますけれども,国における基本指針の早期策定による避難住民の誘導の基準の明確化,私権の制限に伴う判断基準の明確化を要望しているものでございます。  それから,25ページは,「大都市交通事業に関する要望」でございます。  まず,「1 地下高速鉄道等に係る財政措置」でありますけれども,26ページ真ん中辺の(3)が新規の要望になっておりまして,地下高速鉄道に係る高金利で借り入れた公営企業金融公庫資金について借りかえ措置の拡充と,政府資金についても借りかえ措置の創設を要望しているものでございます。  それから,「2 バス事業にかかる財政措置」で,27ページの真ん中辺に四角で囲ったところがございますが,これは,バス運行の規制緩和が平成10年2月に行われたときにつくられた項目でありますけれども,重点化を図るという意味でこれについては削除しております。  それから,その下の「3 公共交通機関のバリアフリー化の促進」については,変更はございません。  それから,28ページの「都市基盤の整備促進に関する要望」でございます。  まず,「1 下水道整備の促進」について,29ページの(2)でございますが,先ほどお話し申し上げましたような地下高速鉄道と同じく,公営企業借換債における要件の緩和等による金利負担軽減制度の拡充を新たに盛り込んでおります。  それから,その下の「2 道路整備の促進」でありますが,大変恐縮ですけれども,1点,修正をさせていただきたいと思います。実は,(2)は全くの新規要望でございますが,新規要望の場合は注書きをしていましたけれども,これが漏れております。  これにつきまして,国の直轄事業負担金ということで,例えば国道を直す,または維持していくためのお金を地方に求められておりますけれども, この国直轄事業負担金の廃止を要望する項目を新たにつけ加えております。  それから,30ページの「3 都市河川整備の促進」,その下の「4 都市公園の整備及び緑の保全・創出の推進」につきましては,大きな修正はございません。  それから,32ページ,33ページは港湾の関係ですので,省略させていただきます。  34ページに移っていただきまして,「住宅対策の充実に関する要望」でありまして,ここでは,「1 公的住宅供給の推進」,「2 住環境整備と市街地住宅供給の促進」,「3 市街地再開発事業の推進」と三つありますが,大きな変更はございません。  35ページは,「上水道事業の促進に関する要望」でありますけれども,「1 健全財政の確保に関する財政措置の拡充」,「2 災害対策の推進に関する財政措置の強化」,この2項目ですが,大きな変更はございません。  最後に,37ページは,「PFI事業推進に向けた環境整備に関する要望」でありますが,これについても新規の大項目でございます。  まず,「1 PFI関連融資制度の拡充」ですけれども,日本政策投資銀行によるPFI向けの無利子融資制度について,現行では平成18年3月までの時限措置となっている適用期限の延長と,低利子融資制度の拡充を要望しております。  次は,「2 PFI事業における税制措置」でありますけれども,従来型と比べ,税制上不利となるPFI事業について,法人税等における課税上の軽減措置を行うよう要望しております。
     それから,「3 民間資金等活用事業調査費補助金制度の適用拡大」でございますけれども,実は,市町村におけるPFI事業の調査委託費の国庫補助金の交付対象から指定都市は除かれているわけでありますが,指定都市も対象とするよう要望するものでございます。  引き続き,重点要望案についてご説明いたしますので,資料5をごらんください。  先ほども触れましたけれども,資料5につきましては,例年,各政党に対して要望活動を行う際に,政党の側から,指定都市として特に強く要望する項目の説明を求められることが多いために作成をしているものです。実際には白本の要望書本体に挟み込んで提出する際に使っているものでございます。  ここでは,大きな講目として三つ掲げておりまして,一つは三位一体の改革の関連でございます。それから,生活保護費,児童扶養手当が非常に危ないということがありますので,この項目と,それから,指定都市の関連で行きますと,県費負担教職員制度の見直しに当たっての財源措置が大きな項目でございますので,これを掲げました。  これにつきましては,6月16日の課長会議で選定したものでありますので,最終的には7月1日に予定されております局長会議でその取り扱いを決めることになります。 ○小野正美 委員長  資料に基づいての説明がありましたけれども,傍聴者の皆さんにも入口に資料を用意してありますので,数に限りはありますが,利用していただいて構いません。  それでは,質疑を行います。 ◆井上ひさ子 委員  私の方から,二つ質問したいと思います。  国家予算に関する要望に新しく入りました要望項目について,一つは,「国民の保護のための法制に関する要望」,もう一つは,「PFI事業推進における環境整備に関する要望」についてお伺いしたいと思います。  国民の保護のための法制で言えば,目的に武力攻撃事態等における国,地方公共団体等の責務,国民の協力等に関する事項を定めることによるということでここに書かれています。つい先日,国会では有事関連法案が決められましたし,有事法制は日本を戦争する国に変えてしまう,そのために国民に対して協力を義務づけていくという中身になっていて,国会の審議を見ましたが,日本が攻撃されなくても,自衛隊が海外でアメリカ軍の戦争に参加し,その戦争に国民を動員していけるという法律の実態になっています。  そういう中で,自治体や政府が指定する民間企業また指定公共機関が戦争に協力することを責務として,消火とか医療,物資の収用に罰則までつけて動員する仕組みづくりになっています。それが,平時から基本指針を策定していくわけですが,そういうことに基づいて訓練や啓発などということを進めて,国民の間にそれに協力していくという意識を培っていくようなもので,私は市民にすごく大きな影響を与えると思います。  これは,憲法の想定する社会のありようと矛盾すると思うものですから,ここは憲法のことで一つお聞きしたいと思うのです。  日本は憲法9条で戦争をしないことを決めているのに,その一方で,武力攻撃事態等における国民保護のための法制を定めているわけです。つまり,戦争と国民保護とは根本的に相入れないと私は思うのですが,この辺についての見解をお聞きしたいのです。これは,札幌市民にとっても本当にこういう方向で動いていくものですから,ぜひ考え方についてお聞きしたいと思います。  もう一つは,PFIの事業についてですが,札幌市のPFI事業が山口の第2斎場で行われています。民間の資源を活用していくことで,特別目的会社に火葬場を,2003年から3年間,65億円というお金で建設させると。今までのやり方ですと,第三セクターでは事業の採算性が問われていたのですが,PFIというのは,委託料としてこれから公的資金が保証されていくという中で,札幌市も,20年間,234億円を限度にサービス購入料を支払うというふうになっているのです。財政問題を見ましても,一時的には市の借金はふえないが,市債の元利償還と同時に後年度負担がふえていく。そういう中で,結果として高くつくのではないかということを私どもは危惧して,議会でもこういう問題を取り上げてきました。また,大手企業には,安定的に収益を保証できますけれども,地元の業者というのはなかなか受注できないです。入れても下請という形でしか入れない,こういう状況だと思うのです。  そこで,本当に行政の役割,また自治体のあり方にかかわる大事な問題ですので,PFI事業そのものについての本市の見解を伺っておきます。  もう一つは,ここで提案されていることですが,先ほど税制上の問題で不利となると説明されました。特別目的会社をつくる会社というのは株式会社で,営利が目的で,営利を求めていくというのは当然の活動だと思うのです。そういう中で,税の負担を軽減していくということは企業に優遇税制を与えていくことになるのではないかと私は思うものですから,その辺をお聞きしたいと思います。 ◎生島 財政部長  1点目の国民保護の法制と憲法との関係というお話でありますが,私ども公務員は法律に基づいて仕事をしていきますので,この法律ができたということで,その法律を実施し,そこで定められている地方公共団体の役割を果たしていくということではないかと思います。  それから,PFIについての本市の考え方ということであります。これにつきましては,まさしく我々が提供すべきはサービスでございます。そういうサービスを市民に提供する際に,どんなふうにやっていくのが全体として市民の利益になるのか,こういう観点で検討されるべき事柄だろうと思います。そういった意味では,PFIはそういう手法の一つとして既に導入されておりまして,札幌市においてもそういう観点で導入し,議会にお諮りして債務負担行為を設定しているということでございます。  それから,税の負担ということでありますけれども,やはり,特別目的会社をつくってやっていくわけでありますが,提供するのは公共的なサービスでありますので,それを安価に提供するためにも一定の課税上の軽減措置は必要ではないかと考えております。 ◆井上ひさ子 委員  今,公務員であるということで,法律として国会でこういう形で決まりましたけれども,私どもはやはりこれは大変危険な動きだと思います。国民保護のための法制といったら,何か国民のためにやるように思われますけれども,中身は本当にそうではないということで,私はそれを言いたかったのです。  こういう中で,新しく要望項目に入ってきて,このために財政措置をするというふうな項目ですけれども,賛同できないと申し添えておきたいと思います。  また,PFIについても,市民にサービスを提供していく,その手法としてやっていくということで提案されましたけれども,本来,地方自治体の主要な役割であるこういう仕事をそういう形で進めていくことに問題があると思います。専門家がそういうところにどんどん入ってきますと,行政そのものが必要でなくなるような方向に行くと思いますので,これは指摘しておきたいと思います。  これについても,新規に要望項目に入ってきょうは初めての議論でありましたけれども,私どもは賛同できないということを申し添えておきます。 ◆小林郁子 委員  それでは,来年度,新たに設けられました項目のうち,私も,「国民の保護のための法制に関する要望」についてお伺いいたします。  関連法が成立したということで,自治体としましては,それに伴う財政的負担がないようにという趣旨を込めてだと思いますけれども,私は時宜にかなったものだと思うわけです。  新たにこれを要望項目として取り上げられました理由につきまして,改めてお伺いいたします。  それからまた,法の成立によりまして自治体は多大な影響を受けますけれども,指定都市として問題点をどのように把握していらっしゃるのか,お伺いいたします。 ◎生島 財政部長  まず,何で新しい項目としたのかというお尋ねでございます。  ご承知のとおり,国民保護法は,去る6月14日に開かれました国会で可決,成立したものです。したがいまして,現時点では,制度の詳細のすべてについて明らかになっているわけではありません。  しかしながら,この法律におきましては,地方公共団体も大きな役割を担うことになっていること,また,地方公共団体の財政上の措置についても規定されているなど,地方公共団体に密接な関係を有することに加え,法律が成立した直後であり,時宜的にも当を得たものとして要望項目に取り上げたものでございます。  問題点といいますか,その辺のお話でありますけれども,国民保護法におきましては,地方公共団体は,まず,政府の基本指針の策定を受けまして国民の保護に関する計画を速やかに作成する必要があるほか,計画策定のための検討や体制整備,避難に関する検討,救援に必要な資機材の整備などの事務を行う必要があります。さらに,国民の保護のための措置については,内閣総理大臣の指示により地方公共団体が行う場合もあるということであります。  これらの事務等につきましては,人口の規模,都市構造を考慮すると,多額の経費が必要とされることが想定されますが,こうした財政負担に対する措置が適切になされるかどうか,そのほか,事務手続の要件,基準が明確に示されるかどうか,この辺が問題点として挙げられると考えております。  なお,こうした点につきましては,今後の基本指針等の中で具体化されることになろうかと思いますが,先んじて要望内容として取り上げたという次第です。 ◆小林郁子 委員  今,ご説明がありましたけれども,まだ明確な形はなかなか見づらいということなのでしょう。国民保護法の中にもありますけれども,都道府県がまず国民の保護に関する計画をつくって,それに基づいて市町村が国民の保護に関する計画をつくるということになっています。その措置としましては,例えば,ほかの自治体,あるいは関係機関との連携を図っていくとか,訓練とか,物資の備蓄,その他もろもろの自治体としての責務も定められていまして,これにつきましては,さまざまな面でふだんからの準備が必要だと思います。  しかしながら,財政上の措置のところを見ますと,自治体が国民の保護のために要する費用,直に国民の保護のために使う費用については原則として国が負担するが,自治体の職員の人件費とか行政事務費というのは自治体の負担だとなっているわけです。  しかしながら,この緊急事態に備えるためには,ふだんから人の配置やいろいろな準備が要るわけで予算もかかります。そういう意味で,経常的な経費についてもやはりきちんと求めていくべきではないかと思います。  そのあたりのことについてどのようにお考えか,お伺いいたします。 ◎生島 財政部長  まさしく,国民保護法は,発動されないというか,利用されないことが最も大切なことではないかと思います。ただ,やはり平時における備えというのも当然必要になってくるということでございます。  そこで,具体的に言いますと,国民の保護に関する計画の策定,避難方法・避難地の検討,住民への普及啓発,職員に対する教育訓練,資機材などの施設整備,また,法律に基づいて国民保護協議会を設置運営するということを行う必要があるとなっております。  こうした事務に伴いまして,財政負担がどの程度になるのかということにつきましては,今後の基本指針の策定などにより明確になるものと考えられるわけであります。こうした負担に対する財政措置の方法としては,地方交付税への算入などが考えられますけれども,地方に必要以上の負担を生じさせることのないように,適切に財政措置が講じられるように,それが国の責任において行われるように要望していきたいと思っております。 ◆小林郁子 委員  これから,国からも指針が示される中でだんだん明らかになってくるのでしょうけれども,今,部長からお答えいただきましたが,やはり財政的な措置についてもきちんと要望していただきたいと思います。 ○小野正美 委員長  ほかにございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○小野正美 委員長  なければ,質疑を終了いたします。  以上で,本日の委員会を閉会いたします。     ──────────────       閉 会 午前11時42分...